ライオンキング 

3回目からの大人のための「ライオンキング」6月観劇のおすすめ!

札幌では5年前に続き2回目のロングラン公演で、もうご覧になった方も多いことと思います。見事にパペットを操り、劇場がアフリカのサバンナと化してしまう。歌とダンスとお芝居がバランスよく、ミュージカルを初めて見る方にとっても、見やすく、ストーリーも理解しやすい。ファミリーで観ても楽しめる!まさしくミュージカルの不朽の名作の一つでしょう。
このライオンキングは
1998年、劇団創立45年の節目に、首都圏初の専用劇場として誕生したJR東日本アートセンター四季劇場[春]のこけら落とし公演として、同年12月20日に幕を開けました。この後、前人未到のロングランを続け、以来18年5ヶ月、国内通算公演回数10,000回超えという、とんでもない記録を樹立することになったのです。
この東京の四季劇場「春」での公演が、現在の場所の再開発に伴う建て替え工事のため先日5月28日(日)、ファイナルを迎えました。この後は大井町にある劇団四季劇場「夏」へ場所を移動して公演が続けられます。(7月16日(日)より)
舞台装置の移動のため一ヶ月半くらいの間は
ライオンキングを上演しているのは、なんとここ札幌のみ!!
なんとも贅沢な時期となっています!
なぜなら!これまで人気の演目なだけに東京と日本のどこかの公演地の2か所同時上演されていたんですね~。
当然、2か所での上演を補うだけの演者さんたちもたくさんいらっしゃるわけです。
でも~、今、公演地は1か所、札幌だけですよ!
ということは!!そう6月はライオンキングを見るっきゃないというわけです!
開幕時のキャストから
ザズは3人目、スカーは2人目へキャストチェンジしています。今週からはナラが変わります!きっとこの後もキャストチェンジがあるに違いない!!と踏んでいます!

1~2回見たらもう十分?いえいえ!キャストが変わると本当に違って見えますよ。
ぜひ、もう一度!
夏休み近くになるとファミリーで行こうと計画している方も多いですが6月は比較的チケットもとりやすい!

さて、後は私なりの、あえて、大人の方へ「ライオンキング」のディープな見方を書いてみます!
ライオンキングは
父に死なれた子ライオンの成長物語だと思っていませんか?
違うんだな~。(いや、もちろんそれもストーリーの重要な縦軸です!)
プラス、アフリカという舞台で、動物に形を変えた肉親の確執、権力闘争。さらには多様性を受け入れること、許すことの大切さを物語っているんです!

動物の王として君臨する兄ライオン、ムファサはどう見ても立派で帝王学を学んだよう。
それに比べ弟ライオン、スカーは舞台上で描かれている姿をみても、どうもひねくれもので、兄の王座を虎視眈々と狙って、いろいろと画策する。さらには兄の命を奪うとまんまとその座に収まり、自分の言うことを聞くハイエナという取り巻きに、腐敗にまみれた統治をはかろうとする。
そう、「兄殺し」の話なのだ。
旧約聖書「創世記」にはカインとアベルという兄弟の物語がある。人類初の殺人の加害者と被害者は兄弟だ。
兄弟の確執というのは、なにか歯車が狂うといつの時代でもおこりうるものなのだろうか?
話がそれたが、なぜスカーは兄を殺そうとまで思ってしまったのだろう?
確かに弟と生まれて、「王」にはなれない立場だが、そこまで憎しみを抱くには
きっと過去になにかがあったに違いない・・・。
また、なぜ、彼の額には傷があるのだろう?誰がつけたものなのか?そしてなぜ彼の名前はキズ=スカーなのだろうか?
そう思って見ると、スカーをみるにつけ、ゾワゾワと鳥肌がたってくる・・・。
舞台上では語られないことなので、あくまでも、それぞれの見る側の想像でいいのだと思うが・・・。その辺がじわじわと感じられる方が演じられていると
大人な感じの舞台になってくるんですよ・・・。
*登場人物の中で一番難しい役だと思います!
さて、ここからは私の勝手な想像・・・。
ザズがムファサと話をしているシーンでザズがムファサに向かって
「頑固な子ライオンがいた。その御子は成長して、立派な王となった・・・」というセリフがあるがここを聞くと
頑固な子ライオンとはムファサの事で
今は立派なムファサも当然、やんちゃな時期があったと、容易に想像がつく。
きっと、スカーの傷は兄がつけたに違いない・・・!
何が理由なのか・・・。気になってきますよね?それが顔にも心に傷を負って、結果ひねくれものになってしまったのか・・・・。
そう思うと、なんだかかわいそうにもなる・・・。

500317
兄と正面きってにらみ合うシーンでもスカーは
「俺を見捨てないで」と兄に、こびて言うわけでもなく、あの時の約束を忘れるなよ!とでも言いたいように、すごむんだな・・・。普通、正面きって凄み合う場合は「コノヤロー」「やるか!」とかになるでしょう・・・。こういうセリフは言わないよね。

以前検索していてこんな話に出くわしたことがある。
(話のでどころは定かではないので、話半分で)
ムファサとスカー兄弟の幼い頃のお話。(何故スカーがあんな悪い奴になってしまったかの話。)
二人の父、母の間にムファサ、タカが生まれました。
(スカーは本名ではなく、本当はタカという名前だった)
ムファサとタカはとても仲良しでした。

ライオンの王は長男のムファサを次の王にすると決めました。それからは後継者を育てるために、ムファサと一緒になることが多くなり、タカは寂しい思いをするようになりました。
それからタカはグレてあのハイエナ3匹とつるむようになりました。
それを良く思わなかった父王がタカを叱り、目に傷をつけたのです!
その後、傷という意味でスカーと呼ばれるようになった。
しかもスカーはサラビが好きだったのに、ムファサとサラビは結婚してしまい、結果、王座も好きな人もムファサにとら、それからあんなに恨んでしまうようになってしまった・・・。

そう聞くと、スカーが単純な悪者とは見えなくなってきませんか?
どういう理由があれ、兄を手にかけてしまうのは到底許せることではないが・・・・

ジュリーテイモア著、「ライオンキング・ブロードウェイへの道」という本の中では
(演出家のテイモアの書いた本で250点以上の衣装や舞台美術のスケッチと制作中の舞台つくりの事を書いたものです。)

それによると・・・
ムファサは威風堂々と動きまわるときに2本の刀を前足の代わりにつかう。

スカーについては・・・・
動物の恰好をするスカーは杖がスカーの3本目の足となる。彼には足が1本足りないが それは顔に深い傷を残した同じ戦いで失ったことを暗示したつもりだった。
と書かれています。
ぜひ、次回はそのあたりも注目してみてみてください!きっとまた違ったライオンキングの魅力に気づくかもしれません!

2017年6月1日記