オペラ座の怪人 シーン解説 その1

注!ネタバレ満載ですので、一度観劇された方のみお読みください!

第一場「ハンニバルのリハーサル」

オペラ座の怪人では劇中劇が3つ登場しますが、まず最初に登場するのが

「ハンニバル」のリハーサルシーンです。

まず、ハンニバルとは?

ハンニバルは、地中海の都市国家カルタゴの植民地であるスペインの総督で、第2次ポエニ戦争で共和政ローマと戦った将軍です。世界史上屈指の用兵家であり、稀代の天才戦術家と言われています。特に、「ハンニバルと言えばゾウ」とイメージされるのは、 当時、地中海の制海権をローマに握られていたため、スペインから陸路、アルプス山脈を越えて侵入するとという無謀な計画を立て、それを5万人の軍隊と戦象部隊を従え実現させたことが有名だからです。

オペラ座の怪人の1幕最初の劇中劇「ハンニバル」ここで上演されているのは、このハンニバルがローマ帝国からの攻撃を受けてカルタゴに凱旋したシーン!

ですから、象は欠かせないのです。このシーンの登場人物はというと・・・・

「エリッサ」役(本編ではカルロッタ役)と「ハンニバル」役(本編ではピアンジ役)のふたり。このふたりの間柄は「愛人」関係。そして冒頭エリッサが持ってくる生首は、ハンニバルが遠征の戦利品として愛人エリッサに贈ったものです。

場面は進み、次に登場するのは「ワイルド・ウーマン」と呼ばれる、ハンニバルと一緒に戦った女性戦士たち凱旋のため戦利品の入った宝箱を持って登場します。その戦利品の豪華さから、いかにハンニバルが大きな闘いを制してきたかが表れているのです。そしてカルタゴの王女とその侍女ふたり(ひとりはちゃんと衣裳を着ているのに対し、もうひとりはティアラのみの格好で登場します。その理由は「衣裳の製作が間に合っていないから」)*これは本編でエリッサにお針子がついてまわり衣裳を縫っていることからもわかります。

エリッサに続いて力強く登場するのは、特攻隊長を務めるカルタゴの戦士。

その後ろで槍を持って立っているのが凱旋してきた兵士たちです。持っている槍についた血の跡がその戦いの凄まじさを物語っています。そしてこの中にもひとり、よく見ると衣裳が間に合わずスーツで演じる男性もいます!

そして劇中では目だし帽を被って登場するふたりは黒人の奴隷という設定になっているそうです。続いて登場するのはダンサーたち。黒一点の男性ダンサーはムチを振り回し奴隷をまとめる奴隷頭です。そしてお揃いの衣裳を着て踊るのが女性ダンサーは奴隷たちです。

さあ、劇中劇「ハンニバル」の登場人物がわかったら後は、細かい人物設定です。

プリマドンナとピアンジが恋人関係であるのは明白ですが、なんとカルロッタには、ピアンジの他にも恋人がいるらしいのです!

そのお相手が「ハンニバル」でムチを操る男性ダンサーなのです。二人の目配せしあう様子からその関係が見てとれます。

新しく来た支配人2人はキャラクターに差があるのは周知の事実ですが

プリマドンナがオペラに出るのをやめると去った後、クリスティーナに白羽の矢が立って、試しにうたってもらうことになった場面で、フィルマンさんはたばこに火をつけようとしますが、アンドレさんがそっとたしなめる場面があります。舞台の中央だけを見ているとなかなか気が付きにくいのですが、二人の性格をよく表していていつもつい笑ってしまします。

そして、ピアンジが象に乗って登場するシーン。華々しく登場した後、袖に引き返す象が反転すると、中でトランプをしている人たちが見えます。彼らはオペラ座の怪人の32人目、33人目の出演者。本物の舞台スタッフです。あえて裏側を見せる演出をしています。

どうですか?また確かめに観に行ってみたくなったでしょう?

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